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40代後半以降の方にはわかる老眼のつらさ・・
「VRの世界に老眼はない!」
この言葉、特に40代後半からピント調節に悩まされている方には、にわかには信じられないかもしれません。
そもそも老眼とは目のピントを合わせる力「調節力」が年齢と共に低下し、ハッキリ見える範囲「明視域」が狭くなっていくことです。
若い頃は近くも遠くも自然に見えていたのに、40代を過ぎると手元の文字が見えづらくなる…。多くの方が経験する、あの煩わしさです。
この「老眼」と上手に付き合うため、一枚のレンズにたくさんの度数がある「累進多焦点レンズ」のメガネを掛ける必要があります。
そうすることで確かに、遠くも近くも見えるようになり、日常生活の不便はかなり軽減されます。しかし、老眼そのものが治るわけではありません。
VRの世界では、本当に老眼の悩みから解放される?
私自身もクエスト2・3を所有しており、VRの魅力に取りつかれたヘビーユーザーです。VR好きが高じて近眼の方でもVRをメガネ無しで楽しめる『メタクエスト用度付きレンズキット』を販売させていただいています。
そしてVRを使っていて、心から感動した発見があります。それが冒頭の
「VRの世界には老眼は無い」
という事実です。
現実世界では、累進多焦点レンズを使っても、どうしてもピントの合いづらさや視界の歪みを感じることがあります。しかしVR空間では、そのような制約から解放され、遠くの景色も手元の文字も、かつてのように自然にはっきりと見ることができるのです。
私自身アラフィフで40代以降の調節力の衰えにより、スマートフォンなどの近くの物を遠近両用などの累進多焦点メガネを使用しなければ見えなくなって久しいのですが、なんの意識もせず自然に遠くの風景から近くのスマホや本が見える喜びを10年ぶりに感じることができました。
VRの魅力を伝える情報発信は数多くありますが、この「老眼の悩みから解放される」という素晴らしいメリットは、まだあまり知られていないように感じます。特に、同世代の方々にはぜひ体験していただきたいです。
少し専門的になりますが、VRゴーグルは、数メートル先に像が投影されるように光学設計されています。そのため、手元を見るためにピント調節力を酷使する必要がないのです。
ARグラスとの違いとは?
ここで少し、似ているようで異なるXREALなどに代表される、AR(Augmented Reality)グラスについて触れておきましょう。
ARグラスは、現実の風景にデジタル情報を重ねて表示する技術です。ハーフミラーを使い、ディスプレイの映像と肉眼で見る現実の景色を同時に認識するため、こちらは肉眼で見る現実世界は老眼の影響を大きく受けてしまいます。
もちろん、インサートレンズに遠近両用レンズをいれることで対応も可能ですが、ARグラスの光学的な制約から、現実の見え方に影響が出やすいのが現状です。眼鏡技術者としてARグラスが今後さらに普及するには、ピント調節力が低下した世代への配慮が、技術的なブレイクスルーの鍵となると考えています。
VRがよく見えない…それは老眼のせいじゃない?
VRの世界に老眼がないということは逆に言えば「VRゴーグル着用時に老眼で見にくくなるということはない!」ということです。(ただし遠視系の方で老眼により調整しきれない遠視が顕在化した場合(=絶対遠視)は除きます)
時々、「VRゴーグルのディスプレイは目のすぐ近くにあるから、老眼だと見えにくいのでは?」というご質問をいただきますが、これは少し誤解があります。VRゴーグルでは、凸レンズを通して、数メートル先に拡大された映像(正立虚像)を見ている状態です。

映画館でスクリーンを見ている状態に近い
ですから、もしVRが見えにくいと感じる場合、老眼ではなく、近視や乱視といった他の屈折異常や、左右の目で見る力のバランス(両眼視機能)に原因がある可能性が高いのです。多くの場合、近視や乱視が原因ですので、度付きのレンズキットなどを使用することで、クリアな視界を得られるはずです。
自身がVRのヘビーユーザーでもある1級眼鏡作製技能士がVR視聴に最適な度付きレンズキットを作製いたします。
VRの新たな可能性:仕事にも広がる快適体験
「VRといえば、VR chatかゲームだけでしょ?」と思っている方もいるかもしれません。しかし、「老眼フリー」というメリットは、仕事の効率化にも繋がる可能性があります。
VRの世界に老眼がないことの活用法の一例として「Immersed」などのバーチャルオフィスを使えば、VR空間に複数のディスプレイを自由に配置できます。現実世界でマルチディスプレイ環境を構築している方も多いと思いますが、それぞれの画面との距離が微妙に異なると、ピント調節力が衰えた目には負担がかかります。特に、画面の数が増えれば増えるほど、その傾向は強まります。
現実世界では多くて3つくらいですが、VR空間なら、ディスプレイの数やサイズを自由自在に変更でき、しかもどの画面も快適なピントで見ることができます。当店で度付きレンズキットをご購入されたお客様の中にも、実際にImmersedやHorizon Workroomsを利用して、VR空間で仕事をしている方がいらっしゃいます。
もちろんVRゴーグル自体の重量やハードウェアの性能、視野角の狭さなどまだまだ改善すべき点はありますが「ゲームはやらないのでVRはちょっと・・」という方、VRの世界に飛び込んでみてはいかがでしょうか?

VRヘビーユーザーである店主によるVRコラム
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