『眼鏡作製技能士』についてのおさらい

人間が五感から得られる情報の約80%は視覚からといわれています。そして視覚に深く関わるメガネはその人のQoL(=人生の質)に関わる大切なツールです。

にもかかわらず、日本では誰でも眼鏡店員を名乗ることができ、経験のまったくない素人でもわずかな研修で実際に店舗でメガネを販売しているというのが現状です。

こうした現状がメガネを購入する消費者の方々の不利益につながるということで、消費者が眼鏡店員の技術レベルを客観的に判断できるようにスタートしたのが『眼鏡作製技能士』の前身『認定眼鏡士』制度です。

その後、消費者の方々のさらなる利益のためメガネに関する国家資格の制定が目指されました。

そして、多くの方々の尽力と長い時間を費やし、ついに職業能力開発促進法 第47条第1項の規定に基づく技能検定職種のひとつとして『眼鏡作製技能士』が認められ国家資格となったのです。

『眼鏡作製技能士』制度のもたらすメリット

1)消費者に取ってのメリット『よりよいメガネを購入する機会が増える』

メガネは他の消費財、家電製品などと比べて店舗でスタッフが加工・調整する割合が非常に大きいことが特徴です。

一つのメガネを作るだけでも、今お使いのメガネの度数・設計、使用状況や新しいメガネに求めること、お客様のライフスタイルなどをお聞きするカウンセリングに始まり、視力の測定、フレーム選び、レンズ設計の選定。レンズ発注から店舗での加工、フィッティング、使い方のご説明、購入後のアフターケアなどが必要となります。

そのためメガネの作製に携わる眼鏡技術者には高度な技術や知識、経験が欠かせません。

もちろん眼鏡作製技能士が必ずしもいい眼鏡技術者であるとは限りませんし、眼鏡作製技能士でなくてもメガネの販売は今まで通りできます。

それでも『眼鏡作製技能士』制度はメガネの作製に必要な技能を身に着けた眼鏡技術者を客観的な基準で認定することで消費者にわかりやすく示し、より多くの方々に満足度の高いメガネを提供できるようになると考えられます。

また眼鏡作製技能士は眼科専門医との連携も求められておりますので、メガネを購入にいらしたお客様へ積極的に眼科専門医の先生への診察をおすすめすることで眼疾患の早期発見につながることも期待されます。

2)眼鏡技術者にとってのメリット『平均技術レベルと社会的地位の向上』

国家資格となることでより多くの眼鏡技術者が認定眼鏡士時代以上に眼鏡作製技能士の資格取得を目指すようになるでしょう。

労働時間が長いうえに知識や技術の習得に時間がかかるためなかなか人材が定着せず、眼鏡専門店は減少の一途をたどっています。

今回の国家資格化が眼鏡技術者全体の技術や知識の水準を上げ、専門職として眼鏡店員の地位向上に繋がっていけばいいなと思います。

メガネのツチヤには1級眼鏡作製技能士が在籍しております

いよいよ始まった眼鏡作成技能士制度。私も無事、資格取得することができました。

ただ、この資格を取ることが『メガネ屋』としてのゴールではありません。

フレームやレンズは現在も進化し続けており、新しい技術や知識の習得が不可欠です。

より良いメガネをお客様に提供するという目標に向けて、これからも慢心すること無く精進してまいります。