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『補聴器の頭脳』チップセットの進化

現在のデジタル補聴器はマイクから入る様々な音を瞬時に分析し、使用者の聴力や環境に応じてもっとも言葉が聞き取りやすい形で出力する必要があります。そしてその際の複雑な計算をおこなうICチップの性能が補聴器の聞こえに大きく関係しています。

パソコンの心臓部であるCPUやGPUが製造プロセスの微細化などの技術の向上で、数年で以前の数倍の性能向上をはたしているのと同様に、補聴器の心臓部であるチップもめまぐるしく性能が向上してきました。

世界有数の補聴器メーカーであるフォナックも約二年ごとに新たなチップを開発し、 「Spice」スパイス以降は補聴器にその頭文字をつけています。

  • Spice (スパイス)
  • Quest (クエスト)
  • Venture(ヴェンチャー)
  • Bilong(ビロング)

そして、2019年に発売されたのが Marvel(マーベル)
そのマイナーチェンジとして2021年に発売されたのがParadice(パラダイス)
2022年に発売されたのがLumity(ルミティ)です

「近年フォナックを含め多くの補聴器メーカーがチップを変更するたび、音質だけでなくユーザビリティ、特にスマホとの接続性を目に見える形で向上させています。
補聴器をただの人の話を聞くためのツールとしてではなくスマートフォンを中心としたシステムの一部として融合していく方向に進化していると感じます。」

マーベルシリーズの主な変更点

  1. 充電式タイプのラインナップに普及帯の30クラスが追加され充電式の最安値がこれまでの260,000円から150,000円とさらに安価になった
  2. スマホから他の機器を介さずにBluetoothで直接ストリーミングや音楽を聴くことが可能になった、充電式タイプもBluetoothに対応
  3. レシーバが2ピンの物から、3ピンの全く新しいものへ、それに伴い耳栓と耳垢ガードも変更

個人的に注目なのは二番目ののスマホとの連携強化です。

前モデルでもビロングダイレクトというスマホと連動できるモデルはありましたが、通信機能をハンズフリー通話でしか利用できませんでした。

それに対しマーベル・パラダイスモデルではiPhone、アンドロイド問わずスマホに入れた音楽や映画、ゲームの音声、Radikoなどを別の通信機(コムパイロットなど)を通さず直接聴けるようになりました。

さらに充電式であれば、Bluetooth使用時は補聴器側の電力消耗が大きい問題を気にしなくてよくなります。「補聴器をしていてもスマホで音楽を楽しむことをあきらめたくない」人におすすめです。

パラダイスシリーズの変更点

  • Bluetooth接続でペアリング対象が最大8台になり、うち同時に2台に接続可能に
  • オートセンスOS(環境対応機能)が第4世代に進化
  • 上位機種ではモーションセンサーヒアリング・ダイナミックノイズキャンセル・スピーチエンハンサーという新しい高音質機能に対応

パラダイス世代では変更点は控えめです。より高音質を目指す方はパラダイスをお選びいただき、コストパフォーマンスを重視する方はパラダイスの登場でお求めやすくなったマーベルをお勧めします。

2022年8月「オーデオパラダイス」の防水強化モデル『ライフ』も発売されました

ルミティシリーズの変更点

  • 両耳間通信機能を使用した指向性機能ステレオズームの2.0への性能向上、新機能スピーチセンサーの導入などにより両耳装用時の会話の聞き取りが向上
  • オートセンスOS(環境対応機能)が第5世代に進化
  • 充電式補聴器に付属する充電器が改良され力を入れず容易に補聴器の抜き差しができるように
  • ハウリングキャンセラーの性能が向上しオープンフィッティングでも高音の利得を十分にキープできるように

待望の新チップ『ルミティ』では主に両耳装用時の指向性と会話の聞き取りの向上に力を入れていますが

個人的には充電器が改良され抜き差しが容易になったことが大きいと思います。

フォナックの充電式補聴器の欠点として充電器からの抜き差し、特に補聴器を引き抜く際に少し力が必要で手が効かない高齢者の方々はコツを掴むまで苦戦する方が少なくありませんでした。

しかしルミティシリーズからは抜き差しに力がほとんど力がいらなくなりより扱いやすくなっています。

重要:補聴器とアンドロイドスマホとのBluetooth接続を考えるならフォナックマーベル世代以降がお勧め!

フォナック以外の他社でもスマホとの直接ストリーミングやハンズフリーフォンを行える機種はあります。

ただしお持ちの機種がiPhoneなら問題はありませんがAndroidスマホの場合はASHA(Audio Streaming for Hearing Aid)規格を満たしている機種である必要があります

残念ながら国内で正規流通しているスマートフォンで現状ASHA規格を満たしているのはGoogle Pixel3以降とSamsung Galaxyのハイエンド機のみです。

つまり現時点でアンドロイドスマホとBluetooth連携が中継器などを使わずできる補聴器は実質フォナックのマーベル世代以降だけと考えていいでしょう。

アンドロイドであれば連携できるのですから、高齢者の方々に人気のNTTドコモの「らくらくホン」や「かんたんスマホ」ソフトバンクの「シンプルスマホ」などでもストリーミングやハンズフリーフォンができるということです。

アンドロイドスマホをお持ちでスマホと補聴器の連携を重視している方は現時点ではフォナックの補聴器をお勧めします

人気の耳穴型補聴器でもスマホの音声を直接聞いたり、ハンズフリーフォンをお使いいただけます

コロナ禍で耳あな式補聴器のニーズが増えていますが耳あな式でも「フォナックバートM312」であればストリーミング視聴、ハンズフリーフォンが可能です。(ただし通信機能を増設するためややサイズが大きくなります)

耳あな式補聴器でもスマホとのストリームが可能!

当店のお客様でNTT Docomoのらくらくホンのようなシニア向けスマホ、ソフトバンク「シンプルスマホ4」をお使いの方がいらっしゃるのですが、2016年頃発売された古く性能が低めのスマホでもストリーミングやハンズフリーフォンに問題なくお使いいただいています。

またAUの京セラの『かんたんケータイ KYF38』いわゆるガラホ(Androidベースの二つ折り端末)のお客様でもハンズフリーフォンが可能でした。

いわゆるガラホでも直接ストリーミングできました

Nintendo Switchの音も補聴器で直接聞けるようになりました!

2021年9月にNintendo Switchにシステムアップデート“13.0.0”が適用され、Bluetoothオーディオが可能になりました!

これによりマーベル世代以降の補聴器とBluetooth音声接続が中継器を介さず直接できるようになり補聴器をしながらよりゲームを楽しめるように!

対応プロファイルがA2DPのみ、対応コーデックがAACやaptXではなくSBCのため遅延がかなりあるのでいわゆる音ゲー、リズムゲーは厳しい、補聴器のマイクを使ったボイスチャットは使えないなどの欠点はありますが、ソフトウェア更新のみで可能になるためまさに神アップデートといえるでしょう

実際に装用して補聴器でスマホとのストリーミングを使い倒しています!

私は試用を兼ねてオーデオM-R(充電タイプ)を休日の外出に装用し使っています。セッティングは簡単で自分のアンドロイドのスマートフォン(Zenfone3、Oppo Reno A、Xiaomi mi11 Lite 5G)に通常のBluetoothイヤホンなどと同じように接続できます。利用にあたり特別なアプリや中継器は必要ありません。

これまでZenfone3 (ZE552KL)、Oppo Reno A、Xiaomi mi11 Lite 5Gなどいわゆるシムフリースマホで使用してきましたがストリーミング音質は良好です。有線接続の高級イヤホンには及びませんが分離もよくOnkyo HF PlayerやAmazonMusic、RadikoでAACやMP3を聴いたり、ポッドキャスト、インターネットラジオを楽しむにはまったく問題ないと感じました

また補聴器ですのでイヤホンとは違い音楽を聴いていても、マイクを通して周囲の音を聞くことが可能です。

そして周囲の音とストリーミングのボリュームバランスもフォナックアプリ上で変更することができますので安全のため周囲の音を聞きたい場合はアプリの『環境バランス』から『周囲』よりに、集中して音楽を聴きたい場合は『音声』よりにしていただくとよいでしょう。

個人的に重宝しているのはグーグルマップの経路案内機能のナビゲーションも補聴器から直接聞くことができるので地理に不案内な場所でスマホを出さずに目的地まで案内してもらっています。

一方、気になる点は人の多いエリアでは電波の干渉からか、たまにストリーミングの断音が発生します。ただこれは通常のBluetoothイヤホン等でも起きますので仕方ないことかもしれません。また遅延はかなりありますのでいわゆる『音ゲー』にも向いていないでしょう。

ただ断音に関してはXiaomi mi 11Lite 5Gに買い替えてからかなり改善されました。スマホ側のブルートゥースのバージョンかハードウェアの性能などで変わってくるのかも・・。

接続時のコーデックですが今使っているmi 11Lite 5GはAAC、aptX、aptX HD、LHDC、LDACなどの高音質コーデックに対応していますが、接続しても補聴器とはSBCで接続されています。スマホとの通信に使われるブルートゥースのコーデック(=音声圧縮方式)は汎用性を重視して必須のSBCのみに対応しているようです。

フォナック(=ソノヴァ)は先日名門オーディオメーカーのゼンハイザーのコンシューマー部門を買収しましたのでコーデックの追加で今後のさらなる音質の向上を期待してます。

さらにApp Store、Playストアから無料でダウンロードできるアプリ「My Phonak」をお手持ちのスマホにインストールすれば、今までは専用のリモコンを購入し持ち歩かなければできなかったさまざまな調整や設定の変更がスマホで可能になります。

ボリュームの調整だけでなく、プログラムの変更や音質調整、充電器から取り外した際の起動設定などを自由に設定できます!

まとめ

スマートフォンが私たちの生活に欠かせなくなっている現在、スマートフォンと補聴器が特別な機器を使わずリンクができることで補聴器をお使いの方々のQoLを飛躍的に向上させる可能性があると感じています、当店にてお試しできますのでお気軽にご相談ください。

2024年1月追記  補聴器とスマートフォンの関係が大きく変わるかも! 補聴器のBluetooth LE Audio対応

先日世界5大メーカーで初のBluetooth LE Audioに初めて対応する補聴器、GNヒアリングの新補聴器リサウンド・ネクシアが発表されました。今後他のメーカーがBluetooth LE Audio対応に追随すれば補聴器がスマートフォンとより簡単により高音質低遅延で接続できるようになるでしょう。そしてAuracastによりロジャーが必要なくなるかも・・。「アンドロイドスマホと連携するならフォナック補聴器」という状況が将来崩れるかもしれません。

補聴器のBluetooth LE Audio対応に関するコラムはこちら↑
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