調光レンズって?

紫外線や光(可視光線)に反応して色の濃さが変化するレンズです。

家の中など室内ではほぼ無色ですが、外に出るとあっという間(約10秒)にサングラスに早変わりします。

まさに1本2役『無色のメガネとサングラスを2本持って掛けかえる必要がなく1本で済む』メガネになります。

色が変わる仕組み
レンズのハードコーティングの内側にある調光層が紫外線などの特定波長の光に反応して変色します。

今年こそ『調光レンズ元年』になるか

虹彩の色が薄いため眩しさを感じやすい人が多く、日常的にサングラスを使うことが定着している欧米に比べ、日本では公の場でサングラスをすることに抵抗を感じる人が多いからか調光レンズはあまり認知されて来ませんでした。

虹彩の色が薄い人は眩しさを感じやすい

しかし、ライフスタイルやファッションの多様化そして、コロナ禍が落ち着き外出機会の増加したことで、レンズメーカー各社が調光レンズの新型を発表し「今年こそ日本の調光レンズ元年」になるかもしれません。

余談ですがレンズのカラー濃度があまり濃くならない調光レンズ(HOYAサンテックミスティ等)もありますが、海外では色が薄いと中途半端と思われるのかニーズがないため、色のあまり濃くならない調光レンズはサングラスに抵抗のある日本独自の文化のようです。

色が濃くならない調光レンズは
日本独特の文化?

あえて言います「調光レンズのデメリット」

調光メガネは本来2本持たなければいけない無色メガネとサングラスが1本で済むため、世界中で多くの人に愛用されています。

その一方で調光機能は紫外線と気温に依存する特性からご購入前にご理解いただかないといけない欠点・デメリットがあります。


欠点1 紫外線でカラー濃度が変化するタイプは車の運転には使えない


調光レンズは基本的に紫外線に反応して濃度が変化するのですが近年の車のガラスは紫外線をカットするため「車内では色があまり変わりません」そのため車の運転時にサングラスとして使いたい方には向いていません。

サングラスを希望される方は車の運転に使用したい方も多いので調光レンズ購入時には注意する必要があります。

ただし、近年運転での使用を考えている方向けに紫外線だけでなく光(可視光線)で色が付く調光レンズ、いわゆる可視光調光レンズが開発されて販売されています。

欠点2 気温にカラー濃度が影響を受ける

調光レンズをサングラスとして使用する場合に日差しの強い夏場に使用したいというニーズがあるとは思います。

しかし調光レンズは意外に知られていない特性として「気温が低いほど濃度が濃くなり、高いと濃度が高くなりにくい」という性質があります。ですので夏季の気温が高い状況、例えば夏の海辺などでは思ったほど濃くならないという可能性があります、逆に気温の低い冬のスキー場などでは驚くほど濃くなります。

眼鏡店としての経験上、調光レンズが紫外線だけでなく気温の影響を強く受けること、気温が低いほど色が濃くなるということをご存じない方が多く感じます。また気温による濃度の違いは購入時に体感できませんので注意が必要です。

調光レンズは気温が高いほど色が変わりにくい。
真夏の30度以上の環境では50%フルカラー程度までしか濃くなりません。
逆に真冬の5°近辺では表情がわからないほど濃くなるため
注意が必要です

調光レンズをお求めの際はメリット・デメリットをご理解いただきお買い上げの際は販売店とよくご相談することをお勧めします。

運転にも使える!今注目の可視光調光レンズについて

サングラスの使用目的として運転時に使いたいというニーズがあります。

前項で述べたように最近の自動車の窓ガラスはほぼ紫外線をカットするため、調光レンズは車内では変色せず運転に使えないという欠点がありました。

その欠点を克服すべく登場したのがが可視光調光レンズになります。

紫外線だけでなくより目に見える光の可視光で変色するため、近年人気があります。

ただし目に見える光に反応して室内の照明などでも変色してしまうため、室内でも無色にならない。車内では室外ほど色が濃くならないという欠点もあります。

可視光調光レンズのメリット
自動車の車内など紫外線が届かない環境でも変色するので運転でも使用できる。

可視光調光レンズのデメリット
可視光であればLEDライトや蛍光灯などにも反応してしまうため室内でも薄く色がついてしまう。
その一方で車内では運転での使用を考慮しているため可視光だけでは屋外ほど濃くならない。

HOYAの可視光調光センシティーダークのダークグレイ
車内など可視光が強い環境での濃度目安
(実際の環境では照度や気温で濃度は変動します。)

各社の調光レンズ

HOYA「センシティー2」「センシティーダーク」

日本のレンズメーカーHOYAは自社工場で調光レンズを制作できる数少ないレンズメーカーです。

これまでオリジナルの調光レンズブランドを「サンテック」としていましたがこの度ブランド名を「センシティ」に一新しました。

紫外線調光タイプの「センシティ2」とサンテックにはなかった車の運転に使用できる可視光タイプの調光レンズ「センシティダーク」がございます。

従来型の紫外線に反応して変色するセンシティ2
旧型より退色スピードが大きく向上しました
紫外線だけでなく可視光でも色が変わるセンシティダーク
既存の調光の欠点であった車内では色が変わらない欠点を克服しました
可視光調光のセンシティダークは色が変わり、調光タイプのセンシティ2はあまり変わらないのがわかります。(センシティ2も全く変わらないわけではありません)

紫外線調光タイプのセンシティ2は従来の調光の弱点である退色速度の遅さがだいぶ改善されています。

New!! 2023年2月追記 センシティ2にも流行のブルーカラーが追加されました!

センシティー2ブルー
中央のスライダーを動かすことで変色前と後を比較することができます。

日本独自の「色が濃くなりすぎない」調光レンズHOYA サンテックミスティー

サングラスはまぶしさを防がなければいけないのでサングラスの一種である調光レンズも色が濃くならなければいけないというのが世界市場では一般的です。

その一方で日本では色が濃すぎるレンズは「怖く見える」などの理由で抵抗感を感じる人が少なくありません。

そこで生まれたのがHOYAの国内市場専用調光レンズ「サンテックミスティー」です。

調光レンズを使いたいけど、あまり濃くなりすぎると使いにくいといサングラス初心者のお客様にも好評いただいています。

2024年までは納期が長いという欠点がありましたが2025年からは需要の高まりに対応して生産ラインの増設が行われより使いやすくなりました。

ミスティロゼ
ミスティブルー
ミスティパープル
ミスティアッシュグレー

当店ではセンシティー2(グレー・ブラウン・グリーン・ブルー)センシティーダーク(グレー・ブラウン・グリーン)サンテックミスティー(グレー・パープル・ブルー・ローズ)のサンプルがございますので実際の色の変化を確認いただけます。

東海光学「レイスタイルフォト」「ルティーナフォト」

東海光学の調光レンズはトランジション社の調光技術を採用しています。トランジション社の調光も改良が重ねられ現在はGen8(第8世代)です。可視光調光の「トランジションエクストラアクティブ」にも対応しています。

東海光学の独自モデルとしてはHEVカット素材である「ルティーナ」に調光機能を持たせ健康効果を押し出した『ルティーナフォト』も発売されました。

健康機能を全面に押し出した東海工学HEVカットレンズ素材「ルティーナ」の調光版です

ニコン・エシロール「トランジションズ」「スタイルカラー」「ポラライズド」

ニコンの調光レンズも東海光学同様トランジションズ社の技術を使っています。通常の「トランジションズ」可視光調光の「トランジションエクストラアクティブ」に関しては東海光学同様です。

ニコン・エシロールの独自モデルとしては定番のブラウンやグレー以外のおしゃれな色に変化する「スタイルカラー」とそして調光機能のみならず偏光機能も持つ「エクストラアクティブポラライズド」がございます。

当店にはトランジションズ(グレー・ブラウン)エクストラアクティブ(グレー・ブラウン)スタイルカラー(ブルー・パープル・ブラウン・グリーン)のサンプルをご用意しております。

結局調光レンズはどこのメーカーがいいの?

正直申し上げて発色・退色のスピードなどの性能に関しては進歩がめざましく、どこのメーカーも実用上で差はほぼありません。

また今までHOYAの調光ラインナップに無かった、運転でも使える「可視光調光レンズ」であるセンシティーダークが販売されたことでますます調光性能そのものでの差がつきにくくなっています。

むしろ累進多焦点メガネを作成する場合などは調光レンズの性能差よりも度付きレンズとしての見やすさやライフスタイルに合わせた設計などを優先してまずレンズメーカーを決定していただき、そのメーカーの調光を使うのがお客様の満足度を上げる可能性が高いと私は考えます。


メガネのツチヤではHOYA、ニコン、東海光学の調光レンズを全て取り扱いしております。

お客様の使用状況、ニーズによっては調光以外の偏光や機能カラー、跳ね上げ式など他のカラーの方が有効な場合もございます。

専任の1級眼鏡作製技能士がお客様のゆっくりと相談させていただき合わせた商品をご提案いたしますので。お気軽にご相談ください。

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