ブルーライトのおさらい

日本医用光学機器工業会が公表している『青色光カットに関するガイドライン』では目に見える光(可視光線)のうち、人が青色として感じる光を意味し、分光測定波長にて380nmから500nmまでと定義されています。

巷にたくさんあるいわゆる『ブルーライトカット』レンズは多かれ少なかれこの波長域の可視光線をカットしています。

余談ですが、その中には、雑貨店やネット通販で販売されているブルーライトカットメガネのように実際にはブルーライトが表示どおり正しくカットしていないものも多くあります。

基本的にはレンズメーカーのように『JIS T7333』や『BS2724-1987』などのブルーライトカット率の定義・計算方法が表記されていないものは信頼性に欠けていると考えられます。

レイガード435の特徴

これまでもレンズメーカーHOYAは『ヴィーナスガードコートラピス』や『キャリアカラー』などのブルーライトカットコーティングやカラーを出してきました。

これらの製品はJIS規格に基づく青色光ハザード関数(網膜に与える影響の重み付け)が一番高い435nm付近の波長をカットすることに重点をおいています

一方の『レイガード435』もその名の通り435nmもしっかりカットしていますが、このコーティングの最大の特徴は紫外線に隣接する380から420nmまでのいわゆる高エネルギー可視光線(HEV= High Energy Violetlight)もカットしている ことです

ちなみに別のレンズメーカーであるニコン・エシロールは最近420nm付近をナチュラルブルーライト、435nm付近をビジネスブルーライトと言ってますね。

435nmだけでなく420nm付近もカットしているのがキャリアカラーとの違いです

裏事情としてHEVが網膜にある抗酸化物質ルテインを減少させるという発表がなされたことを受け、東海光学というレンズメーカーがHEV域をカットすることによる健康上のメリットを押し出したルティーナというレンズ素材を発売しました。
そのルティーナのセールスが好評だったため対抗上HOYAなど各レンズメーカーがHEVカットレンズを出してきたのではと私は思います。

HEVカットレンズの健康効果を前面に打ち出して
成功した東海光学ルティーナ

ただし東海光学がHEVカットによる黄斑変性症のリスク低減まで踏み込んで言及しているのに対し、HOYAやニコン・エスロールはコンプライアンスを考慮してか健康効果はあまり押し出していません。

『レイガード435』その他のおすすめポイント

  • レンズ素材そのものにHEVカット機能をもたせておらず、表面処理で行っているため多様なレンズ設計、コーティングに対応できます。
  • キャリアカラーほどは色が濃くなく、ビーナスガードラピスほど反射光が特徴的ではないので、より普段使いのできる自然なカラーとしてお使いいただけます。
色は4色キャリアカラーに比べて見た目も見え方も自然です
レイガード435のトライアルレンズ全色当店にございます
販売していてブルーライトカット系の効果は個人差がかなり大きいので
実際にご体験いただくことをお勧めします
ちなみにアッシュ(グレー)は実際には青みが強いため写真とは印象がかなり異なります

レイガード435と夜間運転(ナイトドライブ)

まぶしさを防ぐ効果が通常のカラーより高いレイガードですが視感透過率が高いため、夜間運転でもお使いいただけます。

ただし夜間対向車のディスチャージド(=LED)ヘッドライトの眩しさが気になり、その対策としてレイガード435を考えている場合、ヘッドライトの眩しさの原因である470から480nm付近の光をあまりカットしていないので効果があまり感じられない可能性が高いです。

レイガード435を夜間のヘッドライトなどの眩しさ対策におすすめしている通販サイトなどもあるようですが、無色よりはマシですが私はあまり有効でないと考えます。

夜間運転のまぶしさが気になる方は視感透過率が82%と日本工業規格(=JIS)規格での夜間運転に使用できる明るさを確保しつつ、475nm付近の波長をしっかりカットするHOYAのキャリアカラーのMSSY25%あるいはニデックのナイトドライブなどをお勧めいたします。(こちらも当店にトライアルがございますので実際にご体験いただけますご相談ください。)

ニデックナイトドライブはまぶしさを防ぐ効果ではキャリアカラーと以上の性能がございますが、使用できるレンズ設計に制限があるのが難点です。

ですので個人的には遠近両用を含むほぼ全てのレンズ設計や処方に対応できるキャリアカラーをおすすめしています。

夜間運転時のまぶしさを感じる方もご相談ください

レイガード435のまとめ

JISに基づく青色光ハザード関数の高い435~440nmに加え、
より波長の短いHEV(380~420nm)もカットできるのが『レイガード435』です

追記:健康効果を打ち出して注目を浴びている!?HEVカットのみに特化したブルーライトカットについて

ほぼ無色レンズと同じような見え方、見られ方と健康効果を前面に打ち出したマーケティングで注目を浴びているルティーナに代表されるHEVカットレンズもございます。

HEVカット系レンズのメリット・デメリット

長所
黄ばみが強く、反射光が独特だった第一世代のブルーライトカットコートとは異なりほぼ無色(強いて言えば薄いグレー)のため、見え方見られ方も自然で現在流行しているレトロなデザインのフレームに合わせやすく、ビジネス用途にもお使いいただけます。

短所
HEVカットに特化しているため、435nmから480nm付近の眩しさにつながる波長の光はほぼカットしていないのでまぶしさを防ぐ効果はあまりありません。

『ブルーライトカット=まぶしさカット』と考えてらっしゃる方はHEVカットでは期待されている効果を実感できない可能性があります。

ちなみに使用した際の色調の変化が比較的少ないことから、いわゆるゲーミング用メガネに使われることも多くゲーミンググラスのレンズのほとんどはHEVカットコートかネッツペックコート系です。

HEVカットレンズの先駆け、東海光学『ルティーナ』

近年のHEVカットブームのパイオニアである東海光学『ルティーナ』

レンズメーカー自身がHEVをカットすることによる健康効果(黄斑部のカロテン保護)をかなり前面に押し出し、現在のHEVカットブーム(?)の立役者です。

東海光学の遠近両用を含むほぼすべての設計に使用することができます。

眼底に届くHEVをルティーナがカットすることで
眼底への酸化ストレスを減らしルテインの減少を抑制。で網膜色素変性などの眼疾患の予防につながるというのが東海光学の主張です


レイガード435のHEVカット部分に特化したHOYA『クリアカット420』

2020年、HOYAが発売開始した420nmカット機能に特化したほぼ無色のHEVカットレンズです。

強いて言えばルティーナと異なりコーティングで微かにグレーが強いかもしれません。

こちらも遠近両用を含むほぼすべてのHOYAレンズに使用することができます。

レイガード435より透過率が高い(=より無色に近い)のが特徴です

ニコン・エシロール『ピュアブルーUV』

ニコン・エシロールのHEVカットは『ピュアブルーUV』です。
原則特注対応となる『クリアカット420『ルティーナ』と異なり単焦点レンズでは在庫が積んであるので納期が短いのが利点です。

重要!ブルーライトカットレンズはお店で実際に体験していただくことが重要です

レイガード435に限らず、ブルーライトカット系のレンズによるちらつきの改善、コントラスト感の向上は個人差がかなりあります

また遠視系の方や乱視のある方はまずしっかり屈折異常を補正することで、まぶしさが軽減される場合も多くございます。

ですので他の人の感想やネットの書き込みだけで判断するのではなく、度付きレンズの装用も含めてお店で実際に体感いただいてから購入されることを強くお勧めします。 

当店ではレイガード435、ルティーナを含め各種カラー、コーティングのトライアルを数多く取り揃え、1級眼鏡作製技能士が対応させていただきます。お気軽にご相談ください。

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