Meta Quest3について一介のVRファン兼眼鏡作製技能士の視点で考えてみる!

Meta Quest3正式発表、2023年秋発売!

2023年6月1日の深夜ついにメタクエスト2の後継機クエスト3が発表されました。
発表から一夜明け、クエスト2用の度付きレンズキットを販売しているVRファン兼メガネ屋の視点で気がついた点について書いてみたいと思います。

Meta Quest3のQuest2からの変更点

改良された光学系

VRゴーグルは眼前数センチにディスプレイがあるため強力な凸レンズを目とディスプレイの間に配置する必要があります。

Quest2までは通常のレンズでは厚くなりすぎるため同心円状の領域に分割し厚みを減らしたフレネルレンズを使用していましたが、それをパンケーキレンズにすることで40パーセントのスリム化に成功したとのこと。

クエスト2では暗い場面などでフレネルレンズ特有のうずまきのような模様が見えていましたがこれが無くなるのもいいですね。

フレネルレンズに関してはメガネ屋として眼位異常の治療などに用いられるフレネル膜で馴染みがあるのですがパンケーキレンズに関しては正直よく分かりません。

メガネ業界では聞いたことがなく、一眼レフカメラなどに使われている技術らしいのですが・・。

プラットフォームのアップグレード

クエスト2ではSnapdragon 865をベースとしたSnapdragon XR2をプラットフォームを採用していました。

クエスト3のプラットフォームはクエスト2比較でGPU性能を2倍に引き上げたそうですので、ベンチスコアで推測すると4nmプロセスで製造されたSnapdragon 8 Gen1以上をベースにしたものになるのではと期待しています。

PCと無線接続することでPCのハードウェアスペックを使った美しいグラフィックスでVRをするのもいいのですが、自分はあえてPC接続せずスタンドアローンで利用することも多いので嬉しいですね。

描画負荷も増えるので難しいかもしれませんが、XR2がTSMCの7nmプロセスで製造されていましたから現行の4nm、5nmプロセスで製造されることでバッテリーの持ちも良くなることも期待しています。

パススルーカメラのカラー化高精細化

クエスト2では実質安全確認くらいしか使われなかったゴーグル外部を見るパススルーカメラがカラー化高精細化をするようです。

個人的にはVRをするときは一人で自室でするので、VR中に自分の部屋をカラーで見たいとも思わないのですが、Meta社的にはVR世界と現実世界を融合させるMixed Reality(複合現実)のツールとしてのクエスト3を活用してもらいたいという意図を感じました。

実際にこの機能を活かす新しいアイデアが生まれるのを期待しましょう。

眼鏡作製技能士視点でのクエスト3で気になる点

IPD(=瞳孔間距離)の調整

名機クエスト2の数少ない欠点として瞳孔間距離の設定が3種類(58mm・63mm・68mm)しかないという点がありました。

初代クエストすら無段階で調節できたにもかかわらずです。

メガネを作製する場合には度数にもよりますが1mmずれるとプリズムの影響で見え方に影響を与えることがありますのでこれは改善してほしいと思っていたのですが

どうやら画像ではIPD調整用のダイヤルがあるように見えますのでこれは大きな改善といえるでしょう。

屈折異常の矯正

瞳孔間距離以上にVRの見え方に影響を与える近視・遠視・乱視。

VRゴーグルを使用するにあたりこうした屈折異常を矯正する方法は大きく分けて以下の3つがあります。

①メガネ方式(メガネをかけたままVRヘッドセットを使う方式)
メリット:すでに持っているメガネを使えば追加投資不要。
デメリット:フレームの形状によってはヘッドセットに入らない、レンズが曇りやすく煩わしい。
遠近両用メガネなどの累進多焦点メガネのユーザーは近方部で見づらくなるためVRゴーグル用メガネを別途作製する必要がある。

②本体焦点距離調整方式(ヘッドセット本体に焦点距離調整機能がついており、度数に合わせて見え方を調整できる。)
メリット:メガネをかけずにはっきり見える、追加投資不要。
デメリット:一定の度数以上の強度近視あるいは乱視の方は対応できない、VRゴーグルの本体価格が高くなりがち。

③アタッチメント方式(ヘッドセット本体に公式・非公式度付きレンズのアタッチメントを装着する。)
メリット:メリット:メガネをかけずにはっきり見える。強度近視・乱視にも対応可能。
デメリット:作製に別途費用がかかる。

クエスト2は①メガネと③アタッチメント方式を採用していました。

今回の発表ではクエスト3がどれを採用しているかはっきりとは分かりませんでしたが本体価格を考えると②本体焦点距離調整方式ではないように思います。

個人的にはスペースが狭くメガネユーザーのことをあまり考えてなかったクエスト2より小型化されたクエスト3ではさらにメガネは窮屈になると思いますのでアタッチメント装着を考えてもらえると嬉しいですね。

9月29日追記 メタクエスト3の全容が発表され屈折異常対策の詳細が判明しました。

クエスト2同様に①メガネと③アタッチメント方式の併用でした!

最後に

ついに発表されたクエスト3、発売日に購入し酷使してきたクエスト2もだいぶガタが来て、そろそろ後継機が出ないかなと思っていた矢先に発表されました。
総じて冒険せずにクエスト2の正当進化的な内容となり個人的には安心しています。

74,800円(499ドル)という日本での販売価格が「高すぎる!」との声もあるようですが現在の半導体の高騰、円安(クエスト2発売当時1ドル105円、現在139円)という経済情勢。Snapdragon 8搭載のハイエンドスマホが安くて10万円近くしている現状を考えると仕方ないかとも思います。

なによりVRの魅力を知った今ではクエスト3は値段以上に楽しめると個人的には確信しています。

ただVRの欠点として「実際体験してみないと凄さが伝わらない!」いう点がありますので、この価格でVRを未体験のユーザーが購入するにはかなりハードルの高いものになってしまい、クエスト2発売時のような新規VRユーザーの激増は難しくなるでしょう。

自分が初めてVRの凄さを知ったのも横浜のヨドバシカメラでたまたま行われていたSamsungのスマホVRゴーグルシステム「GearVR」体験会でしたので、クエスト3発売の際に販促として家電量販店などで体験会みたいなものをやってくれたらいいなと感じます。

「メタバースは終わった」と一部では言われていますがそれはNFTや暗号通貨などを含めた「広義」の意味でのメタバースのことでクエストなどのVRゴーグルを使った「狭義」の意味でのメタバースは私はまだまだ成長できると思っています。

クエスト3はその起爆剤になる可能性を秘めています、秋の発売が楽しみです。

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