店頭でお客様とお話していると、今度白内障の手術を受けるんだけど「白内障の手術で入れる眼内レンズは、単焦点と遠近両用のどちらがいいの?」とご相談を受けることがよくあります。
それぞれのメリット・デメリットをふまえ、最終的にはご自身の好みやライフスタイルで決めていただくのが一番です。その上で、眼鏡技術者としてアドバイスさせていただくならば、「見え方の鮮明さ(くっきり感)」を大切にされる方には『単焦点レンズ』をおすすめすることが多いです。
■ 遠近両用眼内レンズの落とし穴?
遠近両用眼内レンズの最大のメリットは、「メガネをかけることなく遠くも近くも見える」という点にあります。これだけを聞くと、一見こちらのほうが便利で良いように思えます。
しかし、目に入ってくる光を「遠く用」と「近く用」に振り分ける複雑な仕組みのため、単焦点レンズと比べると以下のようなデメリット(落とし穴)が存在します。
- 微妙な色の違いがわかりにくい(コントラストの低下)
- 暗いところで見づらくなる
- ハロー・グレア現象(光の周辺に輪がかかって見えたり、眩しさを強く感じたりする)
つまり、「どの距離もピントは合うけれど、単焦点に比べると見え方の鮮明さが少し落ちてしまう」という側面があるのです。
そのため、景色や本、パソコンの文字などを「はっきりと、くっきり見たい!」という方には、少し物足りなく感じるケースがあります。
また、万が一術後の見え方にご満足いただけなかった場合、その見え方を後からメガネで補正したり、再手術で調整したりするのは非常に困難というリスクもあります。
■ 単焦点眼内レンズ+メガネという選択
一方で単焦点眼内レンズは、「遠く」か「近く」のどちらか1点にピントを合わせるため、合わせた距離の景色はすっきりと鮮明に見えます。
もちろん、「遠くが見えるようにすれば近くが見えず」「近くが見えるようにすれば遠くが見えない」状態になるため、術後も遠近両用や老眼鏡などの「メガネ」は必要になります。
しかし裏を返せば、「手術後でも、ご本人の好みやライフスタイルに合わせて、メガネで『見え方』を自在にコントロール(微調整)できる」という大きな強みがあります。
白内障の手術後、見え方に違和感があった際でも「メガネで柔軟に改善できる」という安心感の点から、現時点では私個人の意見としては、単焦点眼内レンズのほうが後々の満足度に繋がりやすいのではと考えております。
いづれにせよ主治医の先生にはっきりと希望を伝え、納得の上でお選びいただくのが肝心です。
これから白内障手術を控えられている皆様へ、一人の眼鏡技術者の意見としてご参考になれば幸いです。


